産めないをなくす、最先端の不妊治療「子宮移植」
不妊で悩むカップルはたくさんいますが、不妊治療の研究が進み多くの女性が妊娠できるようになってきています。元々子宮をもたない女性、病気で子宮を摘出してしまった女性は妊娠・出産を諦めざるを得ないとされてきました。
しかしいま、そんなカップルに向けて新しい不妊治療「子宮移植」という方法が注目されています。子宮移植とはどういったものか説明していきましょう。
最先端の不妊治療「子宮移植」とは?
子宮移植とは、名の通り、子宮をもたない女性に提供者から子宮と摘出し移植する方法です。
まず、体外受精をし受精卵を作り冷凍保存しておきます。その後、提供者から子宮が移植され拒絶反応が起きないよう抑制剤を投与し、回復期間が1年ほどかかります。
そして、冷凍保存しておいた受精卵を子宮に移し妊娠を待ちます。自然分娩は危険を伴うため帝王切開にて出産し、子宮は摘出されます。
生まれつき子宮をもたない女性や病気によって子宮を摘出した女性は、妊娠・出産をすることができません。代理出産や里親などの方法はありますが、代理出産は日本で認められておらず、里親になった場合も戸籍に入らず期間が決まっています。
子宮移植は、子宮をもたない女性でも産むことができ、母になれる可能性があるのです。
子宮移植は10カ国で行われている
子宮移植は、スウェーデンやアメリカ、サウジアラビア、トルコなど10カ国で40件ほど行われています。
実際に生まれた人数は2018年1月で9名。スウェーデンでは、初めて母子間での子宮移植が行われ、ドナーは母親、移植されたのは娘でした。多くの子宮提供者は、閉経後の女性でドナーの平均年齢は53.0歳、移植女性は31.5歳です。
現段階で、子宮移植は日本で認められていません。しかし、日本でも子宮移植のプロジェクトチームが作られ研究が進められてきています。
2013年には、子宮を再移植したサルが出産に成功しています。日本でも臨床に向けて少しずつですが準備を始めているのです。
子宮移植の問題点
子宮移植にはいくつか課題があります。
現在行われている臓器移植は、生きるために必要な治療ですが子宮はなくても生きていくことは可能です。そのため、通常の臓器移植と異なる倫理的問題、社会的問題が挙げられるのです。
子宮移植は、母となる女性はもちろん、ドナー、子どもにもリスクが伴います。現時点でわかっていないことも多いので、危険性があることも確かです。
また、生まれてくる子どもへの配慮も最大限に行う必要があります。
産めないはなくなるかもしれない
現時点では、子宮移植には問題があり日本で受けることはできません。しかし、今一般的に行われている不妊治療も研究や配慮により可能になってきたのです。
元々子宮をもたない女性や子宮ガンなどで摘出してしまった女性はもちろん、トランスジェンダーの方にも実用化できるのかという研究も進められています。
いずれ「産めない」ということがなくなり、誰もが妊娠・出産を経験できる時代が来るかもしれませんね。